本を読む女王

 ワタクシが日頃特に大切にしていることは、どんな作家、どんなジャンルのものでもいいから、本を読むということです。
 本を読むということは、その本の作者の世界観を感じること。さまざまな世界を知ることで、ひとりよがりになりがちな自分に喝を入れたいのです。そして、金八先生もいっていましたが、『美しい言葉には美しい心が宿る』という沖縄の格言の様に、言葉のプロから紡がれる美しい言葉を読んでいくことで少しでも豊かな人間性を育てていきたいのです。

この文庫本はまじ凄いのよ!

バッテリー(あさのあつこ著、角川文庫)
 
 週に約2〜3冊、ということは年間150冊近くの本を読破するワタクシには、その本の表紙を見ただけで自分が好きかそうでないかという魔法?の様なものが備わってしまいました。まっ、たまにはハズレもありますけど。という訳で、初めてこの本を本屋で目にした時、「あっ、なんだかヤバイ。はまってしまいそう。」という予感が。何故なら子供好き・感動好きのワタクシにとって、文庫の帯に「こころがあつくなる本」と銘うっている児童書にそそられない訳がありません。が、しかし最初のインパクトがあまりにも強すぎたためその日は結局買わずじまいに。でも、やはりご縁があったのでしょう。次の日にはまず、一巻を購入し、その後次々に続編を買いたしてしまいました。そして実際に読んでみて、「こころがあつくなる」のは虚言でも嘘でもなかったことを実感!
 ストーリーは岡山の一地方都市を舞台に、野球をまさに全身全霊で愛する巧という中学一年の男児を主人公に展開する。巧は田舎の地方都市ではめずらしい天才肌のピッチャー。天才ゆえになかなか周囲に(実の母にさえ)理解されにくいが、同じ野球部のキャッチャーで無二の親友となる豪と出合った事で、野球のみならず、人間関係のうえでも成長していく。
 巧の不器用ながらも、決して他人に流されることのない野球への情熱、自分のプライドをなによりも大切にする姿勢には胸を激しく衝かれる。日頃周囲と折り合うことばかりで、自分の純粋な、ナマな感状を押し込めている大人たちに、いまいちど自分にプライドを持つことの大切さを痛感させてくれる作品。自分に自信を無くしかけているひと、大切なものを見失いがちなひとにぜひ読んでいただきたい作品です。

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